犯罪・刑事事件の解決事例

建物の解体工事を受注したものの、注文主側の問題で工事が不可能となり完了できなかった事案で、注文主から損害賠償請求訴訟を提起されたが、注文主側の問題点を立証して損害賠償請求棄却の勝訴判決を得た事案

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西村 紀子 弁護士が解決
所属事務所横浜みなみ法律事務所
所在地神奈川県 横浜市戸塚区

この事例の依頼主

60代 男性

相談前の状況

相談者である解体業者さん(以下「相談者」とします)は、注文主から、古くて増築を繰り返して100坪を超える大きな建物の解体の依頼を受けました。ただし、注文主側は、その先代から、建物の増築登記を行っていなかったため、建物の種類等も明確でない事案で、相談者は、注文主からの木造と鉄筋の建物であるとの説明内容を信じて、解体を請負ってしまいました。ところが、木造と鉄筋の建物だと思っていたその建物は、鉄骨造の建物で、解体作業は頓挫してしまい、契約の期限までに完了できませんでした。相談者は、注文主に、鉄骨建物を解体するための機械を借りようと費用の追加をお願いしたのですが、注文主は、相談者の申し入れの意味が理解できず、相談者に債務不履行があると決めつけて、相談者との契約を解除して、別の業者に依頼し、別の業者で続きの作業を完了した上で、相談者に対して、損害賠償請求訴訟を起こしてきたのでした。

解決への流れ

すでに訴訟が起こされていましたので、ただちに、相談者の訴訟代理人となり、訴訟を追行することになりました。訴訟を起こしてきた注文者は、自分達が相談者から一方的に被害を受けたと信じ切っており、その言い分に、当初、裁判所も引きずられている状況でした。これに対して、相談者の訴訟代理人となった私のほうで、解体する建物の登記が正確に行われておらず図面もないことの問題を主張し、建築確認の関係書類の提出を注文者に求めるとともに、調査を重ねて資料を取り寄せ、実際の建物の種類(鉄骨造)を立証するとともに、その場合の解体費用の金額の相場等を立証しました。注文主側にも建物の種類(鉄骨造)を明らかにしなかったという先代からの過失というべき問題があり、工事が期限までに完了できなかったことは相談者の一方的過失によるものではないこと、また、本当の建物の種類(鉄骨造)を前提とした解体費用の金額の相場は、相談者が受注した金額よりも遥かに高額であるため、注文者には損害が発生していないことの2点を立証したのです。その上で、注文者の損害賠償請求は棄却されるべきであると主張しました。最終的に、相談者の主張を裁判所に認めさせることができ、注文者の請求は棄却となりました。

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西村 紀子 弁護士からのコメント

本件では、相談者も、案件を受注したい、という気持ちがあったため、登記が正確になされていないことを認識しながら、建物に関する注文者の説明を安易に信じてしまい、受注してしまいました。この点は、相談者も、反省すべき点でした。しかし、本件の建物が鉄骨造であったことまで認識できなかったことは相談者にもやむを得なかったと考えざるを得ませんでした。また、注文者本人ではなくその先代の問題とはいえ、実際には鉄骨の建物であることを正確に登記を行っていなかった(結果として固定資産税も安く済ませていた)にもかかわらず、そのことから生じる問題を、解体工事を受注してしまった相談者に押し付けるのは公平ではなく、また、実際にも、鉄骨造建物を前提とした解体工事代金の相場から考えて、注文者には損害がないといえるものでした。その点を主張立証して、裁判の流れを掴むことができたのはよかったことでした。他の事件と同様に、建築関係のトラブルも、詳細に事情をお伺いして、問題の発生原因を正確に見極めることが大事です。本件は、双方にそれぞれ上記のような問題点がありましたが、トータルで考えて、注文者側の問題が相談者よりも遥かに大きく、相談者が損害賠償責任を負う事案ではないと考えられたので、そのような結果が得られてよかった、と代理人としても納得できた事案でした。