この事例の依頼主
70代 男性
相談者は、70代のお父さんと40代の息子さん。お父さんが、自宅に来た悪質なリースバックの勧誘にひっかかり、自宅を低額で売却させられて毎月10万円の賃料を払うことになるという、「リースバック」の申込の関係の書類に押印してしまったらしいが、手元に控えの書類もないので何に押印したかわからない、業者に電話しても書類を送ってこない、家を売るつもりはない、というご相談で、お父さんも息子さんも途方に暮れてらっしゃいました。
お父さんは、家を売るつもりなんかなく、ただ、自分の家がいくらくらいで売れるのかに興味を持ってしまい、業者を家に入れてしまったところ5時間以上の居座られてしまったとのことで、何かに押印した後、不安になって、息子さんに電話で助けを求めたとのことでした。お父さんと息子さんのお話をお伺いする限り、お父さんに自宅を「リースバック」の形で売却するメリットがないことは明らかでした(高齢者の方を狙う自宅の「リースバック」の勧誘には、よくよく警戒をしておく必要があります)I。お二人とも、ご相談に来られた段階で、手元に押印した書類の控えもないために、何に押印したのかわからない、ということもさらにご不安のようでした。私のほうで、お父さん代理人として、相手の業者に対してお父さんの明確な意思表示を行う委任を受けた上で、ただちに、事実関係と押印したなんらかの契約を取り消すための法律的な意思表示とをまとめた文書を作成し、相手の業者にFAXと内容証明郵便とで送付しました。すると、翌日には、相手の業者から、自分達の勧誘方法には問題がなかった、などとしつつ、お父さんが契約をする意思がないことは私が作成した文書から明らかであるので、契約は締結しないことで同意する(お父さんが押印した文書は、相手方業者で破棄する)という文書が送付されてきて、無事に解決したのでした。
このような事案では、初動が大事になってきます。今回のような業者は、弁護士が入ることによって対応が激変します。相手方から、お父さんが押印した書類の写しも交付されておりませんでしたが、逆に、それが、相手業者の問題点を浮き彫りにした面もありました。正直なところ、時間がもう少し経過していたら、難しい事態になった可能性もあったと思います。というのは、相手が宅地建物取引業者であっても、消費者側が所有する不動産を業者に売るという場合には、クーリングオフによる解除が適用されないのです。ですから、悪質な業者は、契約させてしまえばこっちのもの、とでもいわんばかりに、極めて強引な勧誘をしてくるのです。今回の件は、直後に加入できたことが奏功したといえます。お父さんも息子さんも、お父さんの終の棲家である自宅を守ることができて、心の底から安堵されましたし、私も安堵したケースでした。