この事例の依頼主
50代 男性
軽井沢や上越などに洒落た西洋風のホテルを幾つも持っていてよく知られる○ ○○ー○クラブのことです。A男さんはここの会員で、家族で温泉やスキーに何度も利用して、いいリゾートクラブと思っていました。20年の据え置き期間が経って子供たちも大きくなって利用回数も少なくなったので、退会して預け金100万円を返してもらおうと思いました。退会届出はできましたが、100万円は返ってきません。クラブの理事会が返還時期を1年延長する決議をしていたのです。びっくりしましたが、会員規約をよく見たら、確かにクラブ理事会が延長することができると書いてありました。仕方ないので、1年待ちましたが、1年経ったら何とまた延長が決議されてしまいました。A男さんは、これでは一生取り戻せないと頭を抱えるばかりです。
会員規約を見ると、理事会が延長できると書いてありますが、預かり金を永久に返さないことが許されるはずがありません。民法134条に「停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする」とありまして、クラブ側が勝手に延長することは許されません。これで裁判には勝ちました。被告○ ○○ー○クラブはA男さんに100万円を支払えという判決を取りました。ここまでは順調でした。しかし問題はここから先でした。判決で敗訴して裁判所から支払いを命じられたのに、督促を繰り返しても全く無視して一円も支払いません。このクラブは、日本各地に洒落た大きなホテルを幾つも営業して盛況です。この立派なホテルの建物は、巧みに別の会社名義にしたり、巨額の抵当権がついていたりで、仲々差押ができません。そこで銀行口座を差し押さえたのですが、予想通り残高はわずかで成果が挙がりません。どこから攻めていいのか本当に困りました。防御は鉄壁です。数ヶ月次の手を考えました。ひとつひらめいたことがあります。ホテル営業ですから、ツアー客などを紹介する旅行業者との取引があるはずです。そこで同クラブに出入りしている旅行業者を調査して、そこからのホテル利用代金を差し押さえてみました。裁判所から債権差押命令が旅行業者に送達されて、旅行業者から私のところに差押金の有無と支払うか否かの回答がきました。見込みどおりホテル利用代金があり、旅行業者は支払ってくれました。債権が100万円ですから、一度の差押では足りず、同じ旅行会社に対する同じ債権差押を3回繰り返して、全部取り戻しました。
その債務者が倒産していないで営業を続けている限り、鉄壁のように防御していても、必ずどこかに弱点があって差押ができるものです。